マッカートニーさんの来日第一声は「おっす!」だったらしいが、昨日大阪のライブの第一声は「まいど。おおきに。ただいま」であった。ここだけでな
く、カンペを見ながらとはいえたくさん日本語で話し、サービス精神旺盛、さすがプロである。そして71歳のマッカートニーさん、非常にチャーミングでもある。一曲ごとに「サンキュー」と繰り返し、おどけたしぐさをしてみせる。
セットリストにもサービス精神は表れていて、一曲目のEight Days a
Weekから始まってたぶん半分以上がビートルズナンバー。We Can Work It OutにAll My LovingにLady
Madonnaにオ・ブラディ・オ・ブラダ、Day Tripper, Paperback Writer, Golden Slumbers。Mr.
KiteとかLovely Ritaなど渋めの曲も。最新アルバム『New』からはタイトルチューンのNewのほかSave Us, Everybody
Out There, Queenie Eyeの4曲。Back In the U.S.S.R. やHelter Skelter, Get
Backなどのロックチューンもかっこよかったし、Band on the
Runもよかった。
でもちょっと鳥肌もんだったのはドームいっぱいの観客相手にアコギ一本でBlack
Bird歌ったとき。あの巨大な空間を埋め尽くした何万人にギター一本で対峙する姿は崇高であった。この曲が公民権運動さなかのアフリカ系アメリカ人に力を与えるべく書かれたものだとマッカートニーさんは言っていたが、寡聞にして知
らなかった。言われてみればそのとおりの歌詞である。
とにかく楽しい時間であった。ほとんどの歌を知っていて、なんとなくでも歌える。マッカートニーさんのライブでもあるのだが、むしろ個人的には「マッカートニーさんと歌おう会」であった。ずっと歌ってて声がらがらになった。しかしマッカートニーさんと一緒にLet It BeとかHey Judeを歌ってるなんて、なんと贅沢な。高校生の頃に口ずさんだ歌を今本人と同じ空間で歌っている!そんなことを途中何度か冷静になって考えて、これはものすごいことだ!と思ったら涙が出た。
マッカートニーさんは、もしかしたら今地球上に存在する人の中でもっとも有名であったり、もっとも尊敬されている人かもしれない。その人と同じ空間にいれたってのは、やっぱり嬉しい。
日本は昨日から寒くなったので、風邪が心配。福岡、東京と無事に完走していただきたい。
チケット発売に申し込む際に奥さんから「ジョンとポールどっちが好き?」と聞かれて「そりゃ断然ジョンでしょ」と答えた。奥さんはポール派である。チケッ
トが当たって「ポールのライブがさぁ」と言ったところ、奥さん「あなたはジョン派やからポールって呼び捨てにせずマッカートニーさんって呼び」とたしなめられた。そのため本文中の表記は「マッカートニーさん」にしているが、ライブ中は「ポール!」と叫んでいたのは言うまでもない。
ずっと「ポール派」の奥さん、感動してふにゃふにゃになっている。行って良かった。