2018年3月25日日曜日

芦屋市立美術博物館 「1日だけの展覧会ー現代のとりくみ」


芦屋市立美術博物館での「1日だけの展覧会ー現代のとりくみ」を見に行く。

ポスターの芦屋の浜で相撲を取る少年たち、タイトルの「とりくみ」、ギャラリートークをする4人のコメントに散りばめられた「土俵」「ちゃんこ」といったタームから、これは髷を結って浴衣を着て行くべきではないか?と思う。

行ってみると思った以上に「相撲」推しの押し相撲であった。
入り口正面には土俵が作られていて、展示場では収蔵品の中から全く関係のない作品同士の「取り組み」が展開される。


それが凝ってて、拍子木を打ってからの呼び出し「ひがぁーしー、〇〇〇〇、にぃーしー、△△△△」で始まり、2つの作品の間には軍配が置かれ、福永信氏をはじめとする4人のトークが始まる。作品に添えられた解説もみな相撲にかけたもの。で、最後に勝敗が決せられ「只今の決まり手はー」と紹介される。なんじゃこの謎の相撲づくしは?

しかしこれがめっちゃおもろいのは、まずぼくらは普段アート見るとき、1作品だけと対峙するけど、こうして「取り組み」になると2つの無関係な作品を並べることによってそこに共通点を探すようになり、普段とは違う見方で作品を読もうとするということ。「取り組み」のお陰でコンテクストができるのだ。
そこで一見ふざけたトークが、一見全く共通点のないモーターじかけの現代アートと打出焼きの壺を並べて「これは実は両方人の体に似てて、こっちは背中で、こっちは胸ですね」なんて言うもんで、そう言われるとたしかにそんな気がしてくる。作品1つなら思いもしなかった見方だ。

また、取り組みが作品の優劣を競うものではなく、なんだかよくわからない基準で勝ち負けが決まっていくのも良かった。だって優劣なんてつけられないもの。

あと面白かったのは対戦が終わると次の「取り組み」のために作品がその場で移動されること。普段は閉館時間の夜中にやっているであろう作業を見ることができる。

あー変な展覧会だった。ここまで相撲にこだわるからには、ぜひ「巡業」に出て全国の美術館で「取り組み」を展開していただきたい。