2016年6月2日木曜日

エトガル・ケレット 『あの素晴らしき七年』 書評情報

 エトガル・ケレット『あの素晴らしき七年』が出版されてひと月が経ちました。この本を、そしてケレットさんを気に入ってくれて、大事に大事に読んでくださっている読者の皆様の声をネットや生で頂戴して大変うれしく思っております。なるほどそう読めるかーと、気づかされることも多く、いち読者でもある訳者としては、とても豊かな経験をさせてもらっているなあと感謝の気持ちでいっぱいです。

 紙媒体でも各所で取り上げてくださっておりまして、おそらくはこんなに速くこんなに多くの書評が出るというのはとてもラッキーなのではないかと思います。情報を共有するためにここまで出た書評をリストアップして、都度更新していきたいと思います。載っていないものがありましたら、コメントで教えていただけたりするととても助かります。よろしくおねがいします。

・西加奈子さん 「勇気の書」(『波』 2016年5月号)
・湯川豊さん (『毎日新聞』 2016年5月22日
・松田青子さん 「日常が歪む瞬間」 (『毎日新聞』 2016年5月25日夕刊)
・豊崎由美さん 「天才と呼ばれた作家のマジカルな日々」 (『週刊新潮』 2016年6月2日号)
・『エル・ジャポン』 2016年7月号
・倉本さおりさん 「タフなユーモアが描き出す「イスラエル」という日常」 (『週刊金曜日』 2016年5月27日号)
・岡崎武志さん 『サンデー毎日』(2016年6月12日号)
・円城塔さん 「笑いと日常 その陰にあるもの」(『朝日新聞』 2016年6月12日)※6.12追記 
・藤井光さん 「ポケットに入れたい言葉」(『京都新聞』 2016年6月26日)※7.1追記

なかでも倉本さんの書評は本作をとても深く読んでくれていて感銘を受けました。私たちがつねに使っていながらときとしてその重みを忘れてしまう「ことば」について書いてくださっており、最後は次の一文で結ばれています。

「その優しい、切実な祈りに、私たちは言葉の使い方を学び直すべきなのだろう」

もう一点、とても機知に富んだ記事を書いてくださっているブログを見つけました。 『未翻訳ブックレビュー』さんが本書の「架空の賛辞」を作ってくれています。これが、もうほんとにうまい!まるでケレットさんの掌編小説のようにコンパクトで、笑えて、そして深遠。本書のファンの皆さんなら確実に気に入ることと思います。7つの「架空の賛辞」、いずれも甲乙つけがたいですが、とくに4番目のカフカとヴォネガットとカーヴァ―のやつ、ピリッと辛みが効いてていいなあ。読んでみてほしいです。
(※『未翻訳ブックレビュー』様 コメント欄がなかったのでリンクのお願いができませんでした。勝手にリンクしてすみません。万が一問題がある場合はリンクを消しますので、コメント欄でご連絡いただければ幸いです)

3 件のコメント:

  1. 秋元様
    未翻訳ブックレビュー管理人です。ご紹介ありがとうございます!

    もちろんリンクフリーです!反対に拙ブログでもこの記事にリンクさせていただきます↓
    【まとめ】エトガル・ケレットと「あの素晴らしき七年」
    http://kaseinoji.hatenablog.com/entry/keret-matome
    ※ご紹介いただいた記事を含めていろいろ書いたまとめです

    この本、自分にとって「これが好きな人とは仲良くなれそう」という観点でかなり上位に来る本なので、仲間探しのためにも(笑)少しでも広めるお役に立てれば幸いです。

    こんな素晴らしい本を訳して紹介した秋元様(と出版社様)に感謝です!

    では失礼します。

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    1. 『未翻訳ブックレビュー』さま ご連絡ありがとうございます。ほかの記事も読ませていただきました。「黄色い本」3きょうだい、ジュライはもちろん、高野文子さんの『黄色い本』、私も好きです。「電気をつけると暗くなったねえ」(うろおぼえ)のページがとくに(あの視点の変化!)。

      ケレットさんの作品、日本の多くの本好きの方、そして普段は本を読まない人にも、手に取ってもらいたいと思っております。そして、読んでもらえれば幸福な魔法にかかってもらえると思ってます。それでものの見方が変わって、多少なりともハッピーになる人がいたら、こんな嬉しいことはありません。『未翻訳ブックレビュー』さんのように気に入ってくださる読者の存在はとても励みになります。翻訳者があんまりでしゃばるべきではないとも思うのですが、とても嬉しかったのです。

      今後ともよろしくお願いいたします。

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  2. 秋元様
    ありがとうございます!こちらも紹介していただいてとても嬉しかったです。いち読書として私もケレットの魔法にかかったので、過去作の英語版を読んでいつか拙ブログで取り上げたいです。
    こちらこそ今後ともよろしくお願いします。

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