2024年3月18日月曜日

NYCでの部屋探し

 2024年3月末から一年間の予定でNYCで在外研究の予定なのだが、受け入れ先こそもう2年くらい前からメールしてお願いしていたものの、実際の生活については年が明けてからの取り掛かりで、と言うのも部屋探しはいいところを早く見つけても押さえておけるわけでもなく、渡米直前でいいかと思っていたためである。

単身で行くので広いアパートは不要で、そうなるとルームシェアか、ということでネットでびびなびMixB、それからルームシェアも紹介しているJCSA、あと英語でCraigslist、FacebookのNYC/apartments/roomsみたいなグループに色々入って、ブラウズし始めたのが今年の1月で、最初の予算は月1000ドル。単身だし、多少狭くても汚くても不便でもなんとかなると思っていた。場所はマンハッタンは早々に諦めて元ゼミ生のSさんが住んでいるQueensのAstoriaに絞る。清潔感があって平和そうな雰囲気なので気に入ったのだが、こういう場所選びにはYouTubeが非常に役に立つ。ただ散歩しているだけの動画を見ても街並みがわかって参考になる。

しかしここからが大変で、実際に気になる部屋について問い合わせをしてみても、返信がなかったり(入居者が決まってもポストを消さないままなのか)、やりとりしている間に返信が途絶えたりで、不安になる。こちらから見ればただお買い得に見える物件もscamかもしれず、そのあたりはやはり言語的にネイティブではない場合、怪しさがよく分からず、個人間のやりとりはだいぶハードルが高い気がした。

また、ルームシェアの場合、現地を見てからじゃないと決めるのが怖いので、到着後数日かけて部屋探しをして決めようと思っていたのだが、そうするとその間滞在する場所が必要になる。ホテルは高いのでAirBnBを探すことになるが、これはなかなか大変な気がしてきた。到着して「早く決めなくては」と気も急くし、決められなかったら滞在費が増えていって焦るだろうし。あと、よく考えると人と一緒に住んだ経験はないし、バストイレ共有ってのも、誰かがシャワーしている時はトイレ入れないのか、とか色々不便さが頭に浮かぶ。

一件、日本人の方が募集されているルームシェアについて問い合わせをしたのだが、部屋や立地はそれなりだけど共有スペースがキッチンしかない(リビングがない)物件で、ちょっとそこに住むイメージが浮かばず、また、予算的にもう少し出さないと半地下みたいなとこしかないよ、と同じくNYCに行く予定の同僚に助言されたのもあり、ちょっと予算を増やす。(この頃人から紹介してもらって、ここは良さそうと思った日本の業者さんがcrossoverさん。家賃は高めだがどの物件も写真で見る限り清潔で魅力的、やりとりも非常に安心できるものであった)

とにかく大事なのは方々に声をかけまくることで、私の場合元ゼミ生のSさんや受け入れ先のfacultyである日本人のSさんからの助言が非常に参考になった。そんな折、受け入れ先の教授Jさんから「ちょっと「寮」っぽすぎるかもしれないけど」と紹介されたのがInternational House(I-House) NYCである。

コロンビア大学のキャンパスの近くで、部屋は狭いが共用設備はstudy centerやcomputer room, fitness centerなど充実している。最初は「寮」は嫌やな、と思っていたが、ここは海外からのpostgraduateとvisiting scholarのための施設なので学部生がいなくて、その点では大人な生活だろうし、いろんな国の人と友達になれるというのは、個人でルームシェアに住むよりも孤立せずにすむし、寂しくないかも、cafeteriaのための費用を毎日払わなければならないが、cafeteriaがあるのは楽かも、と段々気持ちが傾いてきて、結局ここに応募することにした。

2024年1月27日土曜日

ビザ到着

火曜日にビザの面接に行って木曜にビザの送付方法を問うメールが来る。トリッキーなのが、このメールが領事館 の名前ではなくAyobas K.K.  ってとこから来るってことで、油断してるとスパムとして見逃しそう。このメールでレターパックで郵送するか領事館でピックアップするか聞かれる。レターパックを選択。色々情報を入力するのだが、ここでもわかりにくいのがなんの説明もなく CGI Federal UID ってのを入力するよう求められるってこと。


なんのことかわからないが、ビザ申請のページにログインして面接予約確認書を見たら一番下のバーコードのとこにUIDってのがあって、これっぽいなあと思って入力したらいけた。

送料の3410円をカードで支払う。また出費だ。

金曜にまたAYOBASから「送ったぞー」ってメールが来て、翌土曜日に到着。サイトではビザの発行まで2、3週間かかると書いてあったが、火曜に行って週内に届いた。思っていたよりもだいぶ早い。面接時に持っていったD S-2019など諸々の書類とともに到着。ビザはパスポートに貼ってある。レターパックプラスは520円なのに3410円もかかるのはどうなのか。










2024年1月23日火曜日

在外準備 ビザ面接

 2024年の3月20日からCity New York Baruch College で1年間Research Scholarとして在外研究(サバティカル)を過ごす。そこに至るまでのいろいろはまた追って書くとして、今日はビザ取得のための面接を受けに大阪の米国領事館に行ってきた。その記録。

朝10時5分の予約で20分前には着いていたが30分は待った


ビザの面接のために大阪の米国領事館へ。昨日書類を見てたら小さなカバンに書類とケータイしか持ち込めないのでコインロッカーに荷物預けて来いって書いてて、東梅田の駅のコインロッカーに荷物を預けるが、結構普通のカバンで来てる人もいて、手荷物検査の手間を減らすためにこういう警告を出しているのだろう。真面目に指示に従わんでもよかったか。
朝から結構な行列で、寒い。なかなか進まないし。
入館のあとは書類を提出して指紋を取られて、そのあと1、2分の面接。SEVIS費用を払っていなかったので、あとで払って領収書を送れとのこと。これが220ドルでこの前ビザ申請に185ドル払ってるから400ドルかかってる。ってことは手続きだけで6万円!出費に敏感になっているワタシには痛い。
面接は、どこ行くの?ーニューヨーク。働いてる大学は公立?私学?ー私学。なんの研究するの?ーアメリカ文学とユダヤ文学。That's itであった。でも中国系のおばちゃんがアフリカ系の係員に「ザンネンデスガビザのハッコウはデキマセン」と言われる声がスピーカー越しに響いた時は待機列にちょっと緊張が走った。ハッコウされなくても6万円は返ってこないのか。
終わったら11時半で、そういえば阪神にシェイクシャックがあるな、食いたいな、NYでは家計の都合で食えんかもしれんから食うとこかな、という思いが一瞬よぎるが、やはりしぇからしか。キクラゲ入れて替玉一回でちょうど千円。日本は安くていいなあ。
こういう記録はブログとかにまとめておくと人の役に立ったりするかもしれないし、自分の記録としてもよさそうなので、あまり更新していなかったこのブログにまとめていこうと思う。

NY行ったらラーメンも3,4千円するのか・・・


2024年1月21日日曜日

福永信「夢のなかの政治家の夢」

 『新潮』2024年2月号に福永信さんの短編「夢のなかの政治家の夢」が掲載された。現政権(あ、辞めた人もいるか)の閣僚たちの見る夢を描く。

現政権のメンツを見ていると、壺やら裏金やらで「こいつらは!」って気持ちになる毎日であるが、こうして同じように夢を見るニンゲンとして見ると、この人たちにも歴史や趣味嗜好があり、同じニンゲンなはずやしなあ、って気持ちになる。末尾に乗せられているような経歴のリサーチに基づいているのが面白いし、「夢」だとしたらそういう夢を見てる可能性は確かにあるし、でもそこにうっすらと戦争の影が滲んでいるのがまた怖い。イスラエルとパレスチナ、ウクライナとロシア、台湾と中国、そして右傾化して軍国化していく日本が、政治家たちの無意識に映り込んでいて、笑えたり微笑ましいと同時にうすら寒くも感じる。
 閣僚たちの経歴をリサーチしているのは、とにかく言語というおもちゃで遊び続ける福永さんのいつもの書き方とは違うなあと思ったが、それをリアリズムに落とし込むのではなく「夢」という可能性の世界に仕立て上げているところはやはり福永さんらしい。大変面白い。

2024年1月5日金曜日

KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第一回イベント「外側に紡ぐ物語ー村田沙耶香さん公開インタビュー」

 2023年12月23日に作家の村田沙耶香さんをお招きして、KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第一回イベント「外側に紡ぐ物語ー村田沙耶香さん公開インタビュー」を開催いたしました。

会場の様子

 詳しい様子は甲南大学図書館のサイトに。


2023年12月25日月曜日

『遠距離現在』

 国立新美術館で開催予定の『遠距離現在』の図録をいただいた。



展示はまだ行けてないのだが、この図録に掲載された福永信さんの掌編「遠距離現在」がよい。


やはり福永さんが書く少年の世界はいい。章の番号が「1」ばかりなのも、直線的に進んでいくのではなく「それぞれが独立して並置されている現在」、という感じで、工夫がされている。死後の世界を見に行って飛び降りた少年が走馬灯を見て、でも走馬灯が暴走して体験していない未来まで見え、その中でまた冒頭に戻って走馬灯を見るという入れ子の話が好きだ。最後の死にかけている少年の夢もいい。周りの大人たちは勝手に「短い」人生を惜しむけれど、少年には常に「現在」しかなくて、その中での時間はすべて充実しているもので、そう思うといくつで死のうが長短に関係なく人生は充実しているものにも思えてくる。すべて夢の中の話だけれど、夢が「現在」ならばその中でぼくらはいくらでも遠くに行くことができる。これは「文学」にも似ている。


2023年12月21日木曜日

「作家エトガル・ケレットは今イスラエルで何を考えているか」

 現在発売中の『新潮』24年1月号で、「作家エトガル・ケレットは今イスラエルで何を考えているか」という翻訳とインタビューからなる記事を書きました。イスラエルの現在を考えると本当に苦しい。ガザの人々の苦境を想うと胸が締め付けられます。10月7日から始まったハマスのテロの犠牲者はイスラエル市民で、しかしパレスチナに人々から家を奪ったナクバを起こしたのはイスラエルで、そして今またガザでパレスチナの人々が命を奪われている。どちらの側にも犠牲者がいて、各国では、イスラエルを支持する声もあれば、パレスチナへの連帯を示すデモも行われている。ニュースはその様子をわかりやすく白黒明確に伝えるが、現実はどこまでいってもグレーだ。

エトガル・ケレットは、この問題について共感が「選択的」になって、みながどちらかのサイドについてしまっていることを批判する。最後の一文はとくに強いので、ぜひ読んでみてほしい。中東の問題についてニュースとは異なる視点を得られると思う。