世界中でパレスチナ映画祭をしているというのをネットで見かけて、調べてみたら神戸ではハカワティブックカフェというところでやっていて、ガッサン・カナファーニの「ハイファに戻って」の映画化作品が上映されるという。映画化されてるというのも知らなかった。

「ハイファに戻って」はその後のパレスチナ系小説への影響力の大きな作品で、スーザン・アブルハワの『ジェニンの朝』はナクバの混乱のなかユダヤ人にさらわれてユダヤ人として育てられる息子が出てきて、あとがきで「ハイファに戻って」からアイデアを得たことを注記しているし、イザベラ・ハマードの『亡霊登場』でも今やユダヤ人が住むハイファの家をかつてそこを所有していたパレスチナ人の孫が訪問する際に「ハイファに戻って」が言及される。ユダヤ人とパレスチナ人の赤ん坊の取り違えを題材にした映画『もうひとりの息子』も「ハイファに戻って」の変奏である。
映画版は途中で過去の出来事が挟まれたりやはり映画ならではの表現になっていて面白かった。小説はサイード夫妻に焦点が当てられていて、映画もそうなのだが、やはり映画である限りそこまで特定の人物が焦点化されなくて、例えば息子ハルドゥン(ドヴ)が両手を当てた顔を正面からアップで撮るカットなどは、語られているサイードの視点ではあるけれど、やはりハルドゥンはどんな気持ちで実の親に「あなたたちは戦うべきだった」と言ったのだろうと想像させる。この小説が息子の視点で描かれていたならばどうなるのだろう?ということも考えた。
最初の方に白黒で48年にイスラエル軍によって追い立てられてハイファから船で逃げるパレスチナ人の姿が描かれる。これは多分ドキュメンタリーの記録映像ではないかと思うのだが、それをわれわれが見る機会がないのはなぜなのかということも考えた。
ハカワティブックカフェは初めて行ったけどパレスチナ関連の書籍やブックレットが充実していて、勉強になる。また行こう。