2024年3月18日月曜日

NYCでの部屋探し

 2024年3月末から一年間の予定でNYCで在外研究の予定なのだが、受け入れ先こそもう2年くらい前からメールしてお願いしていたものの、実際の生活については年が明けてからの取り掛かりで、と言うのも部屋探しはいいところを早く見つけても押さえておけるわけでもなく、渡米直前でいいかと思っていたためである。

単身で行くので広いアパートは不要で、そうなるとルームシェアか、ということでネットでびびなびMixB、それからルームシェアも紹介しているJCSA、あと英語でCraigslist、FacebookのNYC/apartments/roomsみたいなグループに色々入って、ブラウズし始めたのが今年の1月で、最初の予算は月1000ドル。単身だし、多少狭くても汚くても不便でもなんとかなると思っていた。場所はマンハッタンは早々に諦めて元ゼミ生のSさんが住んでいるQueensのAstoriaに絞る。清潔感があって平和そうな雰囲気なので気に入ったのだが、こういう場所選びにはYouTubeが非常に役に立つ。ただ散歩しているだけの動画を見ても街並みがわかって参考になる。

しかしここからが大変で、実際に気になる部屋について問い合わせをしてみても、返信がなかったり(入居者が決まってもポストを消さないままなのか)、やりとりしている間に返信が途絶えたりで、不安になる。こちらから見ればただお買い得に見える物件もscamかもしれず、そのあたりはやはり言語的にネイティブではない場合、怪しさがよく分からず、個人間のやりとりはだいぶハードルが高い気がした。

また、ルームシェアの場合、現地を見てからじゃないと決めるのが怖いので、到着後数日かけて部屋探しをして決めようと思っていたのだが、そうするとその間滞在する場所が必要になる。ホテルは高いのでAirBnBを探すことになるが、これはなかなか大変な気がしてきた。到着して「早く決めなくては」と気も急くし、決められなかったら滞在費が増えていって焦るだろうし。あと、よく考えると人と一緒に住んだ経験はないし、バストイレ共有ってのも、誰かがシャワーしている時はトイレ入れないのか、とか色々不便さが頭に浮かぶ。

一件、日本人の方が募集されているルームシェアについて問い合わせをしたのだが、部屋や立地はそれなりだけど共有スペースがキッチンしかない(リビングがない)物件で、ちょっとそこに住むイメージが浮かばず、また、予算的にもう少し出さないと半地下みたいなとこしかないよ、と同じくNYCに行く予定の同僚に助言されたのもあり、ちょっと予算を増やす。(この頃人から紹介してもらって、ここは良さそうと思った日本の業者さんがcrossoverさん。家賃は高めだがどの物件も写真で見る限り清潔で魅力的、やりとりも非常に安心できるものであった)

とにかく大事なのは方々に声をかけまくることで、私の場合元ゼミ生のSさんや受け入れ先のfacultyである日本人のSさんからの助言が非常に参考になった。そんな折、受け入れ先の教授Jさんから「ちょっと「寮」っぽすぎるかもしれないけど」と紹介されたのがInternational House(I-House) NYCである。

コロンビア大学のキャンパスの近くで、部屋は狭いが共用設備はstudy centerやcomputer room, fitness centerなど充実している。最初は「寮」は嫌やな、と思っていたが、ここは海外からのpostgraduateとvisiting scholarのための施設なので学部生がいなくて、その点では大人な生活だろうし、いろんな国の人と友達になれるというのは、個人でルームシェアに住むよりも孤立せずにすむし、寂しくないかも、cafeteriaのための費用を毎日払わなければならないが、cafeteriaがあるのは楽かも、と段々気持ちが傾いてきて、結局ここに応募することにした。

2024年1月27日土曜日

ビザ到着

火曜日にビザの面接に行って木曜にビザの送付方法を問うメールが来る。トリッキーなのが、このメールが領事館 の名前ではなくAyobas K.K.  ってとこから来るってことで、油断してるとスパムとして見逃しそう。このメールでレターパックで郵送するか領事館でピックアップするか聞かれる。レターパックを選択。色々情報を入力するのだが、ここでもわかりにくいのがなんの説明もなく CGI Federal UID ってのを入力するよう求められるってこと。


なんのことかわからないが、ビザ申請のページにログインして面接予約確認書を見たら一番下のバーコードのとこにUIDってのがあって、これっぽいなあと思って入力したらいけた。

送料の3410円をカードで支払う。また出費だ。

金曜にまたAYOBASから「送ったぞー」ってメールが来て、翌土曜日に到着。サイトではビザの発行まで2、3週間かかると書いてあったが、火曜に行って週内に届いた。思っていたよりもだいぶ早い。面接時に持っていったD S-2019など諸々の書類とともに到着。ビザはパスポートに貼ってある。レターパックプラスは520円なのに3410円もかかるのはどうなのか。










2024年1月23日火曜日

在外準備 ビザ面接

 2024年の3月20日からCity New York Baruch College で1年間Research Scholarとして在外研究(サバティカル)を過ごす。そこに至るまでのいろいろはまた追って書くとして、今日はビザ取得のための面接を受けに大阪の米国領事館に行ってきた。その記録。

朝10時5分の予約で20分前には着いていたが30分は待った


ビザの面接のために大阪の米国領事館へ。昨日書類を見てたら小さなカバンに書類とケータイしか持ち込めないのでコインロッカーに荷物預けて来いって書いてて、東梅田の駅のコインロッカーに荷物を預けるが、結構普通のカバンで来てる人もいて、手荷物検査の手間を減らすためにこういう警告を出しているのだろう。真面目に指示に従わんでもよかったか。
朝から結構な行列で、寒い。なかなか進まないし。
入館のあとは書類を提出して指紋を取られて、そのあと1、2分の面接。SEVIS費用を払っていなかったので、あとで払って領収書を送れとのこと。これが220ドルでこの前ビザ申請に185ドル払ってるから400ドルかかってる。ってことは手続きだけで6万円!出費に敏感になっているワタシには痛い。
面接は、どこ行くの?ーニューヨーク。働いてる大学は公立?私学?ー私学。なんの研究するの?ーアメリカ文学とユダヤ文学。That's itであった。でも中国系のおばちゃんがアフリカ系の係員に「ザンネンデスガビザのハッコウはデキマセン」と言われる声がスピーカー越しに響いた時は待機列にちょっと緊張が走った。ハッコウされなくても6万円は返ってこないのか。
終わったら11時半で、そういえば阪神にシェイクシャックがあるな、食いたいな、NYでは家計の都合で食えんかもしれんから食うとこかな、という思いが一瞬よぎるが、やはりしぇからしか。キクラゲ入れて替玉一回でちょうど千円。日本は安くていいなあ。
こういう記録はブログとかにまとめておくと人の役に立ったりするかもしれないし、自分の記録としてもよさそうなので、あまり更新していなかったこのブログにまとめていこうと思う。

NY行ったらラーメンも3,4千円するのか・・・


2024年1月21日日曜日

福永信「夢のなかの政治家の夢」

 『新潮』2024年2月号に福永信さんの短編「夢のなかの政治家の夢」が掲載された。現政権(あ、辞めた人もいるか)の閣僚たちの見る夢を描く。

現政権のメンツを見ていると、壺やら裏金やらで「こいつらは!」って気持ちになる毎日であるが、こうして同じように夢を見るニンゲンとして見ると、この人たちにも歴史や趣味嗜好があり、同じニンゲンなはずやしなあ、って気持ちになる。末尾に乗せられているような経歴のリサーチに基づいているのが面白いし、「夢」だとしたらそういう夢を見てる可能性は確かにあるし、でもそこにうっすらと戦争の影が滲んでいるのがまた怖い。イスラエルとパレスチナ、ウクライナとロシア、台湾と中国、そして右傾化して軍国化していく日本が、政治家たちの無意識に映り込んでいて、笑えたり微笑ましいと同時にうすら寒くも感じる。
 閣僚たちの経歴をリサーチしているのは、とにかく言語というおもちゃで遊び続ける福永さんのいつもの書き方とは違うなあと思ったが、それをリアリズムに落とし込むのではなく「夢」という可能性の世界に仕立て上げているところはやはり福永さんらしい。大変面白い。

2024年1月5日金曜日

KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第一回イベント「外側に紡ぐ物語ー村田沙耶香さん公開インタビュー」

 2023年12月23日に作家の村田沙耶香さんをお招きして、KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第一回イベント「外側に紡ぐ物語ー村田沙耶香さん公開インタビュー」を開催いたしました。

会場の様子

 詳しい様子は甲南大学図書館のサイトに。


2023年12月25日月曜日

『遠距離現在』

 国立新美術館で開催予定の『遠距離現在』の図録をいただいた。



展示はまだ行けてないのだが、この図録に掲載された福永信さんの掌編「遠距離現在」がよい。


やはり福永さんが書く少年の世界はいい。章の番号が「1」ばかりなのも、直線的に進んでいくのではなく「それぞれが独立して並置されている現在」、という感じで、工夫がされている。死後の世界を見に行って飛び降りた少年が走馬灯を見て、でも走馬灯が暴走して体験していない未来まで見え、その中でまた冒頭に戻って走馬灯を見るという入れ子の話が好きだ。最後の死にかけている少年の夢もいい。周りの大人たちは勝手に「短い」人生を惜しむけれど、少年には常に「現在」しかなくて、その中での時間はすべて充実しているもので、そう思うといくつで死のうが長短に関係なく人生は充実しているものにも思えてくる。すべて夢の中の話だけれど、夢が「現在」ならばその中でぼくらはいくらでも遠くに行くことができる。これは「文学」にも似ている。


2023年12月21日木曜日

「作家エトガル・ケレットは今イスラエルで何を考えているか」

 現在発売中の『新潮』24年1月号で、「作家エトガル・ケレットは今イスラエルで何を考えているか」という翻訳とインタビューからなる記事を書きました。イスラエルの現在を考えると本当に苦しい。ガザの人々の苦境を想うと胸が締め付けられます。10月7日から始まったハマスのテロの犠牲者はイスラエル市民で、しかしパレスチナに人々から家を奪ったナクバを起こしたのはイスラエルで、そして今またガザでパレスチナの人々が命を奪われている。どちらの側にも犠牲者がいて、各国では、イスラエルを支持する声もあれば、パレスチナへの連帯を示すデモも行われている。ニュースはその様子をわかりやすく白黒明確に伝えるが、現実はどこまでいってもグレーだ。

エトガル・ケレットは、この問題について共感が「選択的」になって、みながどちらかのサイドについてしまっていることを批判する。最後の一文はとくに強いので、ぜひ読んでみてほしい。中東の問題についてニュースとは異なる視点を得られると思う。






2023年12月20日水曜日

青森県立美術館奈良美智展「ここから」

 青森県立美術館で開催中の奈良美智展「ここから」の図録にジョシュ・クンさんの論考の翻訳で参加しました。10月に行きましたが、m奈良さんが高校生の時に参加していたロック喫茶の再現を始め、ここならではの奈良さんのルーツまでさかのぼる展示になっております。雪の中の青森県立美術館へ、ぜひ!(アトム氏からもよろしくとのこと)


2023年12月19日火曜日

KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第一回文芸イベント 村田沙耶香さん公開インタビュー「外側に紡ぐ物語」

 KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第一回文芸イベント 村田沙耶香さん公開インタビュー「外側に紡ぐ物語」は12月9日に開催の予定でしたが、12月23日(土)に延期となっております。ご都合のつく方は、今からでも申し込み間に合いますので、下記甲南大学図書館サイトから申し込みください。

常識や当たり前の「外側」に物語を立ち上げてきた村田さんからどんなことばが聞けるのか、楽しみです!


https://www.konan-u.ac.jp/lib/?info=event20231209

2022年11月13日日曜日

第12回赤穂シティマラソン

 2019年の同じ赤穂で走ったあとコロナでレースがなくなって、今年は春の芦屋も仕事で走れず、気がつけば3年ぶりのレース。ハーフ走って牡蠣を食べるのが恒例。2015くらいから走ってるのかな?2018は楽しかった。

 1週間前から天気予報はこの日のみ雨で、やめとこっかなあ、でももう参加費払ってるしなあ、でも交通費もかかってずく濡れってどうよ?でも参加賞もあるしな、でも行きに濡れて走って濡れて帰りも濡れるって過酷すぎるやろ、と逡巡の日々。結局前日に「行ってみるか」と決断。

 朝6時に起きてメシ食って出発。バス停であーバス行っちゃったって見送ったところでゼッケンなど郵送されてきたモノ一式を忘れて来たことに気づく。帰宅。遅くなったので駅まで原付。電車の時刻をちゃんと調べていなかったのでググってみるとどうも普通電車だと間に合わないっぽい。新快速とか走ってない。姫路まで特急乗ればなんとかなりそうなので特急券を買って、車内でTシャツにゼッケンつけたり靴下履き替えたり日焼け止め塗ったりして準備万端。播州赤穂からバス乗って会場で参加賞もらって会場へ。ああけっこう降ってるわ。

スタートを待っている間が一番ツラい。ああもう帰ろっかなって気になる。濡れながらスタート。Tシャツの上にウィンドブレーカーを着ているが雨が染みる。足もすぐにベチャベチャ。ああいややな、3キロくらい走って帰ろっかなあ。

キロ6分半くらい。歩かなきゃいいか、くらいのペース。10キロくらいまではもういつでも帰るぜ、くらいのメンタリティなのだが棄権した時にどうしたらいいかわからないという消極的理由で踏み続ける。そうこうしているうちに公園内の周回コースになるのでもはや諦めるタイミングがなくなる。あとはただただ踏むのみ。

最後のトラックのみ頑張って5人抜いて満足。タイムは2時間19分。まあこんなもんでしょう、っていうか歩かず完走できただけでスゴいよ、オレ。

フルは無理でもハーフはいつでも走れるようでいたいもんだ。

レース後はかましまいって牡蠣。あとは風呂があればいいんだけどな。前日入りして連泊すればいいのか。 2019年の同じ赤穂で走ったあとコロナでレースがなくなって、今年は春の芦屋も仕事で走れず、気がつけば3年ぶりのレース。ハーフ走って牡蠣を食べるのが恒例。2015くらいから走ってるのかな?2018は楽しかった。

 1週間前から天気予報はこの日のみ雨で、やめとこっかなあ、でももう参加費払ってるしなあ、でも交通費もかかってずく濡れってどうよ?でも参加賞もあるしな、でも行きに濡れて走って濡れて帰りも濡れるって過酷すぎるやろ、と逡巡の日々。結局前日に「行ってみるか」と決断。

 朝6時に起きてメシ食って出発。バス停であーバス行っちゃったって見送ったところでゼッケンなど郵送されてきたモノ一式を忘れて来たことに気づく。帰宅。遅くなったので駅まで原付。電車の時刻をちゃんと調べていなかったのでググってみるとどうも普通電車だと間に合わないっぽい。新快速とか走ってない。姫路まで特急乗ればなんとかなりそうなので特急券を買って、車内でTシャツにゼッケンつけたり靴下履き替えたり日焼け止め塗ったりして準備万端。播州赤穂からバス乗って会場で参加賞もらって会場へ。ああけっこう降ってるわ。

スタートを待っている間が一番ツラい。ああもう帰ろっかなって気になる。濡れながらスタート。Tシャツの上にウィンドブレーカーを着ているが雨が染みる。足もすぐにベチャベチャ。ああいややな、3キロくらい走って帰ろっかなあ。

キロ6分半くらい。歩かなきゃいいか、くらいのペース。10キロくらいまではもういつでも帰るぜ、くらいのメンタリティなのだが棄権した時にどうしたらいいかわからないという消極的理由で踏み続ける。そうこうしているうちに公園内の周回コースになるのでもはや諦めるタイミングがなくなる。あとはただただ踏むのみ。

最後のトラックのみ頑張って5人抜いて満足。タイムは2時間19分。まあこんなもんでしょう、っていうか歩かず完走できただけでスゴいよ、オレ。

フルは無理でもハーフはいつでも走れるようでいたいもんだ。

そういえば猫ひろしさんが「ミャー!」って言いながらものすごいスピードで駆け抜けていったのであった。



レース後はかましまいって牡蠣。あとは風呂があればいいんだけどな。前日入りして連泊すればいいのか。

牡蠣焼き飯

生牡蠣

単独行動のカラス

赤穂行くとなぜかいつも寄る公園



2022年10月15日土曜日

「ふれてみよう、イスラエルの文学の今」

 2022年11月17日(木)の18時から甲南大学iCommons地下のiStageで、このたび初の日本語訳短編集が出版されるイスラエルの作家ウズィ・ヴァイルさんをお招きして、講演と朗読のイベントを開催します。2019年にエトガル・ケレット、シーラ・ゲフェン、西加奈子さんをお招きした「おもしろさの向こう側」から3年、コロナ禍で人を招くことも人が集まることも控えざるを得ない状況が続いておりましたが、2018年、19年のイベントで寄せられた「こういう大学らしいイベントをもっとしてほしい」と言う要望に応え、「文学、あります」を形にするため、そろそろ再開です。

詳細及び申し込みリンクはコチラ



2022年9月30日金曜日

エトガル・ケレット「サルマン・ラシュディ襲撃事件の2つの悲しみ」

今月の『新潮』に掲載。エトガル・ケレット「サルマン・ラシュディ襲撃事件の2つの悲しみ」。ページとステージの上は自由であるべき。


2022年9月20日火曜日

ノイマルクト劇場+市原佐都子/Q 『Madama Butterfly』at 京都ロームシアター

 市原佐都子、天才か!って思った。大傑作誕生の瞬間に立ち会った気がする。




 最初、舞台には女優1人でCGで投影される人物に向かって、日本人やから顔が平らで不幸、白人みたいになりたい、と愚痴る。CGは見た目より中身よ、と言うのだが、そんな美しい身体を持った余裕のある白人だけが言えるんや、だからワタシはハーフの子を産む、って宣言する。ここまでで相当ゲンナリする。なんや「日本人」「白人」って雑なカテゴリー、もっと多様でグラデーションがあることくらいわかっとけ、あとそのルッキズムなんやねん、しょーもな、って相当イライラきてもうこんなん見たくないな、帰りたい、くらいに嫌悪感を感じる。
 次にその女性がオリエンタル全開で白人米兵とセックスして妊娠という流れになるのだが、この米兵役が女性でかつ白人なのかよくわからない感じで、おや?と思う。
 すると舞台がガラッと開かれて、作家と役者の会話になり、ひとつメタの枠に話が拡張して、ここで作家は冬子という名の日本人なのだがアフリカ系でもある身体で、でも日本人的かわいさを求められたり売りにしたり、配役でもピッタリアメリカ白人に当てはまる役者がいないからフィリピン系のあんたを使わざるを得なかったとか、それぞれ別の言語でやりとりがあって、カテゴリー分けの暴力性を嘲笑っていた自分はこの多様性や複雑さ、ステレオタイプを求められる映画や舞台、その背景や苦労、そしてそのステレオタイプに擬態している人の思いまで考えて嘲笑っていたのかよ、と見ているこちら側が突きつけられる。うわあ!ってなった。
 その後上演舞台に戻ると「ハーフ」の子を産んだ母親は精神を病み自殺未遂をし、家庭は生活保護を受け息子はワキガで悩んでいる。ワキガの手術をしたい息子と整形をしたい母親。共に身体を変えることでコンプレックスを解消したいが、息子が自分の身体の匂いは自分ではわからない、と言うように判断するのは他者でありそれを内面化していては解決しない。ワキガとチンポのデカさと言うエログロ要素を持ち込みながら、それが笑いのためだけのネタではなく、人が自分であることの不可欠な要素として炙り出される。息子がLiNEでやりとりするチワワの女の子もそうで、自分のデカいチンポが日本人女性にハマるかという問題は、世界中の犬のメスがチワワでオスがセントバーナードだったら?という犬種の話に人種の問題が重ねられてハッと思う。
 ステレオタイプで人を判断したらあかんよ、とわかった気になってるお前はほんまにわかってるんか?って観客に突きつけるすごい舞台だった。京都は明日明後日しかなくて、その後は来週に豊岡。豊岡でもう一回見たいな。見とかないともう見られへんのやろな。最初から見て確認したいことがたくさん。
 あーすごい舞台だった!
 終わったあと興奮して3人で喋りつつ歩いてどこに行くかわからなくなりそうなのでタクシーで移動して、色々語り合う。同業の文学研究者と感想を交わすのは楽しい。論文書くより、こういうのしたほうがいいよ。
 3人で感想を語り合ったのち旅館に戻ってなんとかお風呂の時間に間に合う。湯上がりにロシアンブルーのリリーちゃん(11歳)をかまわせてもらい、写真を撮ろうと部屋に戻って下に降りたらもう居なかった。ネコらしくて、よい。和室は落ち着くし、客はワタシだけで静か。蚊取り線香の匂いがしている。最高か。


2022年8月9日火曜日

『ムード・ホール』

 福永信さんがずっと応援している映像作家カワイオカムラの作品『ムード・ホール』のSide B版が完成して、オリジナル版とともにYouTubeでも公開となりました。京都市芸大の@KCUAで展示を見たのが2016年の年末なのでもう6年も経ったのか。

劇場版公開時のパンフに私が寄せたコメントはこれ。


わかりたいあなたを追い込む緻密で精巧に作られた混乱。増殖し、反復し、反射しながらもどこかが違う。ずれていく。さあさお入り、踊りながら、走りながら、落ちながら。まずはホールに入ってみないことにはわからない。

オリジナルがこちらでSide Bがこちら

2022年7月16日土曜日

神戸市外大での講演 「文学の遊び方、ワタシの場合」


 どうもFacebookとかすぐに友人知人に見えるものばかりになってBlogの投稿が3年も止まっているのを反省。19年のケレットさんの招聘イベントのことも書いてないし、そのあとコロナが始まって以降の"Outside"制作や温さん木村さんをお招きした2020年の授業やら諸々、書いておくべきことを書いていない。反省。ソーシャルメディアの閉じた空間だけではダメな気がするのでなにかあったらちゃんとblogに書こう。

昨日は学部時代の母校、神戸市外大の「米文学史」の授業にお招きいただき、「文学の遊び方、ワタシの場合」というタイトルで講演をさせていただきました。


懐かしき神戸市外大の様子。所々新しい施設はあるけれど原型は昔のまま。


パーラーはないしビールは売っていない(宝くじ同好会で百万円当てて学食でビールで乾杯した話も披露したぞ)。

楽しく講義させてもらいました。難波江先生がお一人で全て準備されていて、しかもハイブリッドでzoom同時配信にビデオカメラでも録画してYouTubeにアップということで、準備がむちゃくちゃ大変だろうし、送ったパワポも動画を載せたので6Gにもなっちゃってそこでもお手数をかけてしまいましたが、全てスムースに運営されていて、尊敬。


講義ではワタシの半生の反省から始まって、こうやって文学を楽しんできましたよ、というのをオースターの話、紙幣の話、ケレットさんや文芸イベントの話と繋げて行って、パワポ作りながら思ったけど、自分がやってきた(時として方向性がバラバラの)いろんな活動が線になって行くようで、自分の振り返りと今後の展望を考える上でもいい機会になりました。
学生たちがみな熱心に聞いてくれてかわいいのと、あと外大は2部もあるので2部の学生さんからの反応も嬉しかったし、茶話会に残ってくれた学生さんたちとのおしゃべりも楽しく、甲南での授業に出たいと早速メールをくれた子も2人いいました。
終了後は今年から着任された井上さんも交えての食事会でこれまた楽しかったです。
送ってもらった学生のコメントを見るとそれぞれ違うポイントで響いてくれたようで、嬉しいものばかり。普段の授業ではこんなコメントもらえないので、ゲストというのは役得ですな。
今はやりたいことはぼんやりしててもいいから、好きなことを大事にしてそれに導かれていけばいいよ、というのをメッセージとして送りましたが、この学生たちがみな自分なりの好きをカタチにしていってくれたらいいなあと願わずにはいられません。
結局ジャケットは暑いので、話の中にも出てくるケレッとさんイベントTシャツで変なおじさん風に登場してみました。

2019年8月10日土曜日

ジョージ・オーウェル『あなたと原爆』

拙訳のジョージ・オーウェル評論集『あなたと原爆』(光文社古典新訳文庫)が出ました。ファクトとフェイクの問題、ナショナリズムとパトリオティズムの問題、科学と人文学、スポーツとナショナリズム、ヘイトの問題等々、現代に射程を伸ばしたオーウェルの思想を集めたアンソロジーです。読んでくださって目が開く方がたくさんいたらいいな、って思ってます。

2019年6月10日月曜日

エトガル・ケレット &シーラ・ゲフェン 来日特設サイト

特設サイトの運営ともろもろ準備で忙しく、こっちのブログがお留守になっておりました。2019年の10月にケレット さん夫妻が来日します。イベントに出版に映画祭にと盛りだくさんの内容を準備中です。詳しくはこちらの特設サイトをみてください。

http://etgar-shira-jp.strikingly.com/



2018年11月24日土曜日

作家は「良いウソ」で闘う

ケレットさんの翻訳を介してつながった「未翻訳ブックレビュー」さん、11.17にも東京から来てくださいました。読み応えたっぷりの映画評です!「作家は「良いウソ」で闘う」。まさしく!http://kaseinoji.hatenablog.com/entry/keret-documentary?fbclid=IwAR27saVW9MDev8syFSKd9OCep-olUnle3XDiS8jNB6_doU6bgf3uA5ef1FU

2018年11月20日火曜日

文芸イベント『今、この世界で、物語を語ることの意味』・・・そして国際エミー賞!

去る11.7(土)に甲南大学で開催した上記イベント、たくさんの方にご来場いただきましてありがとうございました!
みなさまの熱のこもったアンケートを読ませていただき、新たなる企画を練ろうとすでに画策しております。

温さん、福永さん、木村さんのシンポジウム、お三方の個性と曲げられない信念が表出してとても刺激的でした。考えてみればそれぞれ個人のご講演なんかはあっても、こうして3人の作家が一堂に会してひとつのテーマについてお話をされるイベントというのはなかなかなく、とても貴重なお話を聞かせていただくことができ、この場に参加してくださったお三方に感謝申し上げます。

できればお三方のことばはいずれ正確な形でどこかで発表できればと思います。

そして第一部で上映したステファン・カース監督『エトガル・ケレットーホントの話』、なんと本日入ってきたニュース、国際エミー賞の芸術部門を受賞しました!

会場でも大好評でしたが、これは日本でも上映なり放送なり、しなくてはいけません!

楽しみにお待ちください!




2018年11月9日金曜日

『新潮』12月号 「犬とエスキモー ー エトガル・ケレット 、日本からの視察団と語る」

『新潮』12月号に、拙訳・構成で「犬とエスキモー  エトガル・ケレット 、日本からの視察団と語る」が掲載されております。2月にイスラエルに行った時のミーティング音声を起こして訳してギュギュッと縮めたものです。



この号には『新潮45』問題に関する小特集もあって、ヘイトの根っこにある恐怖を犬の喩えで語るケレット  さんの言葉には、この特集とつながる部分も大きいと思います。

タイトルの「犬とエスキモー」は最初から決めていて、気に入っています。怯えて吠えたり噛み付く犬にならぬよう、恐怖心につけ込む政治に操られぬように賢く平穏に生きたいものです。


担当してくれたKさんはイスラエルでもご一緒したのですが、彼女のエンピツで自分の訳文の無駄な表現が、庭師に枝葉を切られる木のようにスッキリしていきました。感謝です。

末尾には11.17のイベントの告知まで入れてくれてます。これまた感謝です。

エトガルの聡明さと、あと、変わらぬおもしろおじさん力が発揮されております。この記事だけでなく他の作品も充実した号だと思いますので、ぜひお買い求めを。